ワンちゃんは、私たちにとってもっとも身近なペットの一種です。
家族の一員として家庭に癒しと和みをもたらしてくれたり、あるいは警察犬や救助犬のように私たちを手助けしてくれる存在になってくれてもいます。
そんなワンちゃんの犬種はとても数多くあり、公認されている犬種を見ても200~350種といわれます。
もちろん犬種それぞれに特徴があり、犬種ごとの特徴や個性、「らしさ」を追求し、競う世界があることは皆さんご存じでしょうか?
ここでご紹介するのはそんな、純血種のワンちゃんたちが血統ごとの理想を追い求めるドッグショーの世界です。

ドッグショーとは?
ドッグショーは、純血種の犬が特定の基準に基づいて評価され、順位が付けられる競技会・品評会です。
犬種ごとに定められた理想的な姿や特徴を示す基準は「スタンダード」と呼ばれ、犬の外見や性格、動きなどが審査されます。
ドッグショーで犬種ごとの基準を競うことは、同時に犬の血統や繁殖の質を保つための重要な役割を果たしています。
つまり、犬種ごとの外見や性格の特徴の理想形、純血種のワンちゃんが持つ美しさを競う場ということになりますね。そこに集うのはそうした美しさや可愛さを備えたワンちゃんたち、というなんとも豪華な世界です。
そんなきらびやかなドッグショーはどのように行われるのでしょうか?
ドッグショーの流れ
審査は勝ち抜き方式で進められます。まず最初は犬種ごとに分けて審査され、犬種ごとの勝者がグループ別の審査に進むことになります。犬種ごとの勝者はBOB(Best Of Breed)と呼ばれるそうです。
犬種ごとの審査を勝ち抜きBOBとなったワンちゃんは、その犬種が属するグループに分かれて審査を受けます。
グループは国際畜犬連盟による全10グループに分けられるのが一般的です。このグループ分けと代表的な犬種、審査基準になるスタンダートについては後述します。
ここでグループ審査に勝利したワンちゃんがグループ代表となり、BIG(Best In Group)と呼ばれます。
そして最終的に、全グループのチャンピオンが集まり、BIS(Best In Show)「ベスト・イン・ショー」と呼ばれる総合優勝者が選ばれます。ベスト・イン・ショーのワンちゃんは文字通り参加したすべてのワンちゃんの中のベスト、頂点に立つという栄冠を手にすることになるのです。
ドッグショーの審査基準
ドッグショーでの審査の基準とされる項目には、大きく分けて3つに分類されます。
まず1つめが外見です。各犬種ごとのスタンダード、理想的な体系の基準に基づいて、体のバランスや毛色、顔つき、骨格が審査されます。また、当日の健康状態、自然でバランスの取れた歩き方や走り方などもポイントの1つになります。
さらに、性格や気質も重要な審査基準になります。犬種にふさわしい性格が備わっているかも重要で、例えば、作業犬であれば自信があり、落ち着いていることが望ましいとされます。会場内でひときわ輝く魅力を放つ要素があるかどうかにも、審査員は目を光らせることになります。
犬種のグループ分けと「スタンダード」
ドッグショーでは前述のように、犬種ごとの理想的な姿を示す「スタンダード」という基準に照らして、犬種ごと、グループごとに審査が行われます。
このスタンダードと犬種のグループは、FCI(国際畜犬連盟)によって定められています。
ここではグループの代表的な犬種とスタンダードをみてみましょう。
1.牧羊犬・牧畜犬

羊などの家畜の群れを誘導して移動させたり、保護したりする役割を担う犬種で、シェパードやコリー、シープドッグの系統などが主に含まれます。
コーギー(ウェルシュ・コーギー・ペンブローク)
コーギーもこのグループの中で人気の犬種の1つです。その短い脚と長い胴、そして元気いっぱいの性格で人気があります。牧羊犬としての本能も強く残っています。
コーギーのスタンダードを見ると、体系では体高よりも体長が長く、低い姿勢でバランスの取れた体型が理想的であるとされます。胸は広く、骨の太い四肢が特徴です。
毛色は赤、フォーン、セーブル、トライカラーの4系統が一般的です。
性格の面では明るく、活動的で、知能が高く訓練しやすいことが特徴です。牧羊犬としての本能から、警戒心が強く、保護者意識も強いですが、神経質だったり攻撃的でないことが求められます。
2.使役犬

番犬や警護の役割を担う犬種とされ、このグループに属する犬種は、強い作業能力とバランスの取れた体型が重要視されます。
それぞれの犬種には、その作業に適した体力や特性があり、これらがスタンダードに反映されています。ドッグショーでは、外見の美しさだけでなく、その犬種が本来の作業能力を発揮できるかどうかが評価されるポイントとなります。
代表的な犬種にドーベルマンが挙げられます。
ドーベルマンは、ガードドッグや警察犬としてよく使われる犬種で、その優雅で力強い体型と鋭い知性が特徴です。
中型から大型で、筋肉質で引き締まった体型が理想であり、また優雅さと力強さを兼ね備えた姿勢がスタンダードとして求められるものになります。
被毛は短く、滑らかで光沢のあるブラックやチョコレートカラーに、タンのマーキングが入ります。毛質は硬く、身体に密着していることが理想的とされています。
性格の面では知的で、非常に警戒心が強く、勇敢であることが評価されます。適切に訓練されれば、非常に忠実でコントロールしやすいことも特徴的です。
3.テリア

穴の中に住むキツネなどを捕獲する際に活躍する犬種で、例えばヨークシャー・テリアは、その代表格でありドッグショーでも非常に人気の高い犬種です。
優雅な姿勢と美しい被毛を持つ小型犬で、スタンダードのポイントは、特にその美しいシルキーな被毛と、コンパクトでバランスの取れた体型、そして活発で勇敢な性格に重点が置かれています。
ヨークシャー・テリアの最も特徴的な点は、その被毛にあるといえます。
被毛は非常に柔らかく、絹のような光沢があります。ドッグショーではその美しい流れるような被毛が見どころになります。
被毛の色は、スチールブルー(スチールグレー) と タン で、毛色の境目ははっきりとしており、色が混ざらないことが重要です。具体的には、体の上部が濃いスチールブルーで、胸、顔、耳周りはリッチなゴールデン・タンの色を持つことが理想的です。
ドッグショーの審査においては、見た目の美しさだけでなく、その歩様や全体的な調和も重要な審査ポイントになるといえるでしょう。
4.ダックスフンド

地面の穴の中に住むウサギやアナグマを捕獲する猟犬で、その特徴的な長い胴体と短い脚、そして活発な性格で知られる犬種です。
ダックスフンドのスタンダードは、その独特な体型、被毛の質感や色、そしてその活発で勇敢な性格に基づいて評価されます。
ドッグショーでは、バランスの取れた体型としっかりとした歩様、そして美しい被毛が重要な審査ポイントとなります。
体型にはスタンダード、ミニチュア、カニンヘンという3つのサイズがありますが、それぞれに理想的な体重と体系の目安が決められています。
各サイズ共通で、胴体は非常に長く、筋肉質でしっかりしています。短い脚と長い胴がバランスよく調和していることが重要です。
また背中はまっすぐで、強く、安定しています。弓なりや下がりすぎた背中は好ましくありません。
被毛については、ダックスフンドには、スムースコート、ロングコート、ワイヤーコートの3つの被毛タイプがあり、タイプに応じてスタンダードが異なります。色にも多くのバリエーションがありますが、単色(ソリッドカラー)やレッド(赤茶色)、クリームが一般的なカラーといえます。
性格面をみると、ダックスフンドは、活発で好奇心旺盛、そして非常に勇敢です。狩猟犬として育成されているため、独立心が強く警戒心もありますが、飼い主には忠実で愛情深い性格です。自信に満ちていて、元気いっぱいの性格が評価されます。
5.原始的な犬・スピッツ

スピッツは「尖った」という意味で口元の形状が鋭利な犬種。秋田犬や柴犬などの日本犬もこのグループに含まれます。
このグループの人気種でもある柴犬のスタンダードをみると、そのバランスの取れた体型、豊かな被毛、そして警戒心と忠実さを備えた性格が重要視されます。
柴犬は、日本犬特有の「自然な美しさ」を持ちながら、しなやかで力強い動きが求められます。
ドッグショーでは、これらの特徴が総合的に評価され、柴犬が持つ「素朴さ」や「日本犬らしさ」が重要なポイントとなります。
体格の面ではバランスの取れた、しっかりした筋肉質の体型が理想です。体はコンパクトで、四肢はがっしりしていますが、重すぎる印象を与えないことが大切です。
柴犬の毛色には、赤、黒胡麻、胡麻、黒(褐色)4色が主に認められています。
性格についてみると、柴犬は、勇敢で自信に満ち、非常に警戒心が強いことが特徴です。特に、自立心が強く、独立して行動する能力がありますが、飼い主に対しては忠実で献身的で友好的であるといえます。一方で他者にはやや警戒心を持つことが多いです。また、好奇心旺盛で活発な性格も、柴犬の大きな魅力です。
6.嗅覚ハウンド

優れた嗅覚と大きな声で獲物を追いかける狩猟犬のグループです。
嗅覚ハウンドグループには、優れた嗅覚を持つ犬種が多く含まれており、ビーグルやバセット・ハウンド、ブラッドハウンドといった犬種が人気です。
これらの犬は、嗅覚だけでなく、その持久力や追跡能力、そして友好的な性格も評価されています。ドッグショーでは、外見のスタンダードだけでなく、嗅覚ハウンドならではの動きや表情も重要な審査ポイントとなります。
嗅覚ハウンドグループの代表的な犬種の例として、ここではビーグルのスタンダードを見てみましょう。
ビーグルは、嗅覚ハウンドの中でも最も人気が高く、家庭犬としても広く飼われています。彼らは小型でフレンドリーな性格ながら、非常に優れた嗅覚を持ち、特にウサギ狩りで使われていました。
コンパクトで筋肉質な体型をしており、バランスが取れたプロポーションが求められます。
短く密な被毛が特徴で、その毛色はブラック、ホワイト、タンの3色からなるトライカラーや、レモンカラーとよばれるホワイトとレモン被毛のコンビネーションが多く、他にもバイカラーのバリエーションがあります。
フレンドリーで明るい性格が持ち味で、他の犬や子供にもよく馴染みます。
好奇心旺盛で、追跡本能が非常に強いため、匂いを追い始めると集中力を発揮できることも特徴のひとつであるといえます。
7.ポインター・セター
獲物を探して飼い主に知らせる役割の猟犬
ポインターとセターの犬種は、それぞれ鳥猟犬として優れた嗅覚と俊敏さを持ちながらも、美しい外見と愛情深い性格でも人気があります。
このグループの代表的な犬種の1つがアイリッシュ・セターです。その美しい赤茶色の被毛で知られており、フィールドでの優れた狩猟能力と家庭での優雅な性格で人気があります。
アイリッシュ・セターのスタンダードをみると、体型は中型から大型になり、体はスリムで、筋肉質かつバランスの取れた体型が求められます。
被毛は長く、光沢があるのが特徴。毛色は美しいチェスナットと呼ばれる赤褐色の毛並み、またはマホガニーが理想で、毛質は絹のように滑らかです。耳、胸、脚、尾に豊かな飾り毛があります。
アイリッシュ・セターは、非常にエネルギッシュで、明るく、社交的な性格が特徴です。また、家庭では非常に愛情深く、活発で遊び好きな性格であることも高く評価されます。
8.7グループ以外の鳥猟犬

ここまで紹介した分類に属さない犬種で、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、アメリカン・コッカー・スパニエルなどがこのグループに含まれます。
ここではこのグループの代表例として、ゴールデン・レトリーバーのスタンダードを見てみましょう。
ゴールデン・レトリーバーは、イギリス原産の大型の鳥猟犬で、特にその美しい金色の被毛と穏やかな性格で知られています。レトリーバーとして、鳥猟での回収作業に優れた能力を発揮します。
体系は中型から大型で、全体的にバランスの取れた体型が理想的なスタンダードとして評価されています。
被毛は防水性があり、外毛は直毛かわずかに波打っており、アンダーコートは密で柔らかいです。毛色は鮮やかな金色やクリーム色で、濃すぎないことが理想です。飾り毛が首や胸、尻尾、脚に豊かに生えていることが特徴です。
性格についてはとてもフレンドリーで、温厚かつ穏やかな性格であることが評価されます。さらに人懐っこく、他の犬や動物、子供にもよく馴染むことが求められます。また、知性が高く、訓練しやすいことも理想的な特徴です。
9.愛玩犬

家庭犬や愛玩目的の犬種がこのグループに分類され、、パグ、ペキニーズ、チワワ、シーズー、マルチーズなど、家庭犬として非常に人気が高い犬種が多く含まれます。
どの犬種も、見た目の可愛さだけでなく、家庭での生活に適した友好的な性格が評価されており、ドッグショーではその外見と性格が重要な審査ポイントとなります。
犬種ごとにいろいろな特徴がみられる、個性豊かなグループですが、ここでは代表としてパグのスタンダードを見てみましょう。
パグは、その愛らしい顔立ちと親しみやすい性格で知られる小型犬です。しわのある顔と巻き尾が特徴的です。
小型でがっしりとした体型をしています。良く引き締まり筋肉質で、体のプロポーションはほぼ正方形が理想とされます。
被毛は短く滑らかで、つやつやとしています。毛色は明るいブラウンイエロー系のフォーンやブラック、アプリコットが一般的です。
平らでしわの多い顔がもっとも特徴的でパグの最大の個性を表します。目は大きく、黒く、表情豊かです。
そしてユーモラスで遊び好き、社交的な性格であることがスタンダードとして求められます。愛情深く、飼い主に非常に忠実な性格も高く評価されることになります。
10.視覚ハウンド
視覚に優れており、獲物を走って追いかけ捕獲する犬種のグループです。
主に視覚を使って獲物を追跡・捕らえることに優れた犬種が属するグループです。優れた視力、スピードと俊敏性を活かして広いエリアでの狩猟に適しています。体型はスリムで筋肉質、足が長く、優雅な動きを持つことが特徴です。
グレイハウンドは、世界で最も速く走る犬種として有名であり、このグループの代表的な犬種の1つといえるでしょう。特に、競技犬として広く知られており、そのスリムで力強い体型が特徴的です。
グレイハウンドのスタンダードをみると、体形では非常にスリムで、筋肉質であることが特徴です。細身で足が長く、軽やかで素早い動きを持つことが理想とされます。
被毛は短く滑らかで、手入れがしやすいです。毛色は多様で、ブラック、ホワイト、ブルー、フォーン、レッド等さまざまです。これらの色の組み合わせも認められています。
性格についてみると、温和で穏やかな性格をしており、家庭では非常に落ち着いています。基本的には社交的で、人に対してフレンドリーですが、他の動物に対しては追跡本能が強く現れることがあります。
純血種のワンちゃんたちが持つ魅力と美

ここまで、ドッグショーの審査や、犬種ごとの理想的な姿であるスタンダードについてみてきました。
犬種ごとの個性や特徴がさまざまあって、ドッグショーに参加するのはそうした犬種「らしさ」という魅力を備えたワンちゃんたちだということが見えてきますね。
とりわけドッグショーで競うワンちゃんたちはそれぞれの犬種の中でも選りすぐりのエリート犬、美男美女といってもいいかもしれません。
そしてその中で勝ち上がるチャンピオンはまさに世界一の美の持ち主であることが証明されるのです。
なんだか雲の上の華やかな世界のような感じもしますが、それだけではなく実は犬種ごとの特徴を保存していくという点でもドッグショーは重要な役割を担っています。
こうしたある種きらびやかな純血種の美しさもとても魅力的ですが、たとえそうでなくても、ひとりひとりが大切な命であり、かけがえのない存在であることも事実です。
そばでいつも寄り添って一緒にいてくれるあの子こそが、みなさんにとっての世界一なのかもしれません。
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